ウォーレン・バフェットが日本円の暴落を予想?キャリートレードとは?将来的に1ドル200円になる可能性は?
どうも、こんにちは。
マレーシアに住んでいるヒロです。
本記事は、2019年のバークシャーの巨額円建て社債のニュースと、キャリートレードに関する内容を記載しています。
衝撃的なニュース!ウォーレン・バフェットが日本円の暴落を予想している?
ここ最近衝撃的なニュースが飛び込んできたのですが、そのニュースに関係する単語の、
- キャリートレード
- 円キャリー
- サムライ債
の意味を全然知らなかったので、改めて勉強しました。
ニュース自体にも大変興味があったのですが、友人にその記事を見てもらったところ、『ああ、キャリートレードだ。いわゆる円キャリーの話でしょ。金利の安い日本でお金を借りて、金利の高い国で運用するっていう………。』と言われました。
僕はポカーンと聞いていたのですが、言われてみれば、このニュースはその話だなと気づきました。
続けて友人は、『円キャリーの意味が分かれば、日本のニュースでよく言われる『有事の際には安全通貨である円が買われる……』というのがいかに馬鹿げた話かどうかが分かる』と言っていました。
なので、ちょっと気になったので、自分で調べてみようと。。。。
ちなみに僕は投資に関しては素人です。
投資は、ローカルのマレーシア企業の安定株を買っているくらいです。
- MAYBANK
- TENAGA
さて、何が衝撃的なニュースだったかというと、これです。
バークシャー、初の円建て債4300億円 海外企業で最大 2019/9/6 20:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49510400W9A900C1EN2000/著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは6日、同社として初となる円建て債の発行条件を決めた。償還までの年限が5~30年の6本の社債で合計4300億円を集め、海外企業が発行する円建て債としては過去最大の発行額となった。
発行する社債は5年、7年、10年、15年、20年、30年の6本。このうち10年債は表面利率が0.44%で、発行金額は1465億円と6本の中でもっとも多かった。表面利率が0.17%の5年債の発行額も1085億円にのぼった。発行総額は2007年のシティグループの2700億円を抜き、海外企業の円建て債として過去最大だ。
バークシャーの信用格付けは「ダブルA」(米S&Pグローバル・レーティング)とトヨタ自動車(同ダブルAマイナス)より高い。「グローバル円債」という海外投資家も購入できる枠組みを活用した。長期金利がマイナス圏に沈むなか、知名度が高く財務が健全な同社の社債は、銀行や保険会社、資産運用会社など国内外の幅広い投資家から需要を集めた。
日本の社債市場は、海外に比べて小粒な起債が目立つ。今回、バークシャーが大型起債を成功させたことで、海外企業による円建て債の発行機運が高まる可能性がある。
米バークシャー、初の円建て債で最大1000億円超 2019/8/20 8:17
https://web.fisco.jp/FiscoPFApl/ThemeDetailWeb?thmId=0010320020190820003著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社米バークシャー・ハザウェイは、9月初旬にも円建て社債を初めて発行すると一部メディアが報じている。調達額については未定だが、最大で1000億円を超す可能性があるとのこと。国内の機関投資家のほか、海外投資家も購入できるグローバル円債という枠組みのもと、主に生命保険など国内の機関投資家に販売する予定だ。同社の投資先は米国に集中しており、今回の調達資金も米ドルに転換するものとみられている。
ツイッターでは、世界的な投資家が日本円の暴落を見込んで巨額の円建て債券を発行した〜〜〜と大騒ぎになってました。日本企業に投資をするのだろうという意見も散見されましたが、二つ目の記事に、米ドルに転換するものとみられている……と記載があるので、日本に投資するわけではなさそうです。
この世界的投資家の思惑や円建て債券の意味がさっぱりわからなかったので、勉強しなきゃなと。
仮に日本円が急激な暴落をしなくても、誰がこんな人口減少・少子高齢化に苦しむ国の通貨を欲しがるんだよ。。というのはもはや言うまでもないので、そのうちに自然と弱い経済力に見合った相場まで円が下がるのは想像に難しくはないのですが。。。
ウォーレン・バフェットの円建て債のキャリートレードの流れ
バークシャー・ハザウェイが、4300億円の社債を発行すると発表
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日本国内で4300億円の金を集める
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日本の企業か共同体が、バークシャー・ハザウェイに4300億円分の投資をする
(過去の例として、マレーシアが日本政府から2000億円の円キャリーをしている https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-08/PMLGLN6S972901)
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バークシャー・ハザウェイが日本国内で、日本企業などから4300億円を集める
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バークシャー・ハザウェイがそのお金を日本国内で日本企業などに投資をしてくれればありがたいのだが、記事を読む限りそれはないようだ
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バークシャー・ハザウェイが、日本国内で集めた円を、米国ドルに替える(この段階で、大量の円は売られ、大量の米ドルが買われる)
↓
バークシャー・ハザウェイが、米ドルで何かしら運用(ここは彼らの自由。ウォーレン・バフェットが気になる企業の株を買うのもよし。米国債でも良い。何でも良い)
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満期が来る 3,5,7,10年
↓
運用していた米ドルを、日本円に替える
(この時点で大量の米ドルが売られ、大量の日本円を買う)
↓
日本企業に、日本円で金を返す
償還年限 | 5年 | 7年 | 10年 | 15年 | 20年 | 30年 |
表面利率 | 0.17 | 0.44 | ||||
発行額 | 1085億円 | 1465億円 |
※表面利率(1年間の利子) 最小は0.17、最大は1.1
※日本の長期国債10年金利 -0.23
このバークシャー・ハザウェイの社債だけで、日本の年間の社債市場の15%を占める
ちなみに、アップルやP&Gもリスクの少ないサムライ債を利用している。日本企業からすると、サムライ債の発行の増加は超低金利に苦しんでいる銀行や保険会社にとって非常に魅力的なようだ
さて、これで為替差益を利用してバークシャー・ハザウェイがお金を稼ぐのはよいのですが、上記は普通の円キャリーの話ですね。
金利の差を利用してお金を儲けるのは、現在ツイッター上で騒がれている、円の暴落を見越した儲け話ではありません。
なので、次は、円の価値が今後下がることによって、バークシャー・ハザウェイの儲けがどのように変わるかを見てみましょう
日本円が下がることでバークシャー・ハザウェイの利益はどれくらい変わるのか?
2019年9月現在の円は、1ドル107円前後です。
経済力低下による円安であれば、30年くらいの間に1ドル200円くらいで止まりそうでしょう。下記試算は日本経済のハイパーインフレによる円通貨の大暴落も見込んでいます。
10年債を例にしましょう
10年債発行額 1465億円 → 米ドルに交換すると 1,365,080,641米ドル
仮に2029年時に 1ドル150円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは976,666,666米ドルでよいことになる
(差額の儲け 388,413,975米ドル)
仮に2029年時に 1ドル200円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは732,500,000米ドルでよいことになる
(差額の儲け 632,580,641米ドル)
仮に2029年時に 1ドル250円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは586,000,000米ドルでよいことになる
(差額の儲け 779,080,641米ドル)
仮に2029年時に 1ドル300円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは488,333,333米ドルでよいことになる
(差額の儲け 881,747,308米ドル)
仮に2029年時に 1ドル350円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは418,571,428米ドルでよいことになる
(差額の儲け 946,509,213米ドル)
仮に2029年時に 1ドル400円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは366,250,000米ドルでよいことになる
(差額の儲け 998,830,641米ドル)
仮に2029年時に 1ドル450円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは325,555,555米ドルでよいことになる
(差額の儲け 1,036,525,086米ドル)
仮に2029年時に 1ドル500円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは293,000,000米ドルでよいことになる
(差額の儲け 1,072,080,641米ドル)
仮に2029年時に 1ドル550円になっていたとすると 1465億円を集めるのに必要なドルは266,363,636米ドルでよいことになる
(差額の儲け 1,098,717,005米ドル)
上記の資産からすると、バフェット氏の投資は円キャリーだけでもすでに儲けがあるのですが、満期時に仮に1ドル200円になっていれば、借りた金の半分返すだけでよくなるので、投資としては勝ちでしょう。
1ドル150円だとしても大成功ですね。
10年後に1ドル150円・・・全く有り得ない数字だとは思えません。
まとめると、暴落するしないの議論はおいておいても、日本経済が良くなって円の金利が上がっていくことを見越していれば、バフェット氏はこのような巨額な社債を発行しないと思うので、当面数十年は日本は没落・円安傾向であると判断したと見てよいでしょう
日本円が1ドル200円以下になる時があるのか?
では、償還年限 5年、7年、10年、15年、20年、30年の間に1ドル200円以下になる時があるのか?
仮にハイパーインフレにならなくても、
- 経済成長がもはや見込めない
- 30年間の間に、東海地震や南海トラフ地震という超巨大災害の可能性がある
- 人口減少(毎年50万人以上減っている)
- 超少子高齢化社会
- 消費税などの重税により内需は崩壊
- ものづくり技術力やIT関連もすでに他国に抜かれ、新しいビジネスを創出する土壌もない
- 戦争をしている可能性がある
仮に一度ハイパーインフレになってしまえば、日本国内に工場のある輸出産業は圧倒的な円安によってV字回復をする可能性はあります。将来的にまだ売れそうな商品は車だけが残っていると思うのですが、電気自動車への参入も遅く、電気自動車が本格的に始まると、ヤマダ電機が電気自動車を開発しているように車産業自体も誰もが作れるものになっていると思われるので、やはり経済が活況するほどのものはないと予測します。
日本国政府が借金1000兆円越えだが、これが原因でハイパーインフレになるかどうかは未確定とします(自国通貨建のため)
有事の際には安全通貨である円が買われる・・・のウソ
円キャリーの流れは、下記のとおりです。
日本円は低金利なので、お金を安く借りることができる
↓
海外投資家が、日本で大量の日本円を安く借りる
↓
その大量の日本円を、米ドルなどの外貨へ交換
↓
その米ドルを使って、アメリカかどこかで投資をする
↓
その投資でお金を儲ける
さて、有事の際には安全通貨である円が買われる……というウソについてですが、それは、円キャリーの巻き戻しという動きです。
僕もそうでしたが、テレビのニュースが流す、有事の際には安全通貨である円が買われる……という言葉から皆さんが想像するイメージは、
【なんか世界景気が後退懸念があるのかな……。今持っている株や他の通貨を売っていったん逃げよう。で、余ったお金は、とりあえず動きが安定している日本円を買っておこう。。。。】
という感じのイメージものではないでしょうか?
実は実際の動きは、
円キャリーをしている投資家が、ずっとアメリカに投資していた。
↓
米国経済の先行き懸念が高まる……先が読めないな……景気後退の懸念があり、アメリカの金利が下がりそうだ。
↓
むむむ、儲けが減ってきそうだし、リスクを感じるな。。。
↓
一旦、アメリカでの投資をストップして、持っている米ドルから避難するかな。。
↓
で、引き出した米ドルのお金を、日本円に換金して、円キャリーでお金を借りていた日本に返済しよう
(ここで大量に米ドルが売られて、日本円が買われる。これが世界景気が悪くなると、日本円が買われていた仕組み。)
↓
これが世界やアメリカの景気が悪くなると、円高圧力が高まる背景です
なので、『日本円は安定している通貨だから、日本円を買って少しの間避難しよう』なんて考えている投資家は誰もいないんですよ。単純に、日本円は金利が安くて借りやすかったので、今まで借りている投資家が多かった。それを景気の情勢に合わせて、一時的にその借りていた日本円を返していただけだったんですよね。
(ここ、少し難しいところです。『日本円を返す』という行動には、持っている米ドルを一度日本円に換金してから、日本でその日本円の借金を返すという具体的な動きがあります。この換金する時点で、円が買われるんですよね)
これはテレビのウソなんですよね。愛国心を高めるため、日本はすごい国なんだ!世界から信用されているんだ!と大衆の頭に潜在的に植え付けるために、とりあえず言っておけばいいというものなんですな。
日本はずっと低金利だったため、大量のお金を低金利で借りることができた。
だからこそ、今までに円キャリーをしているヘッジファンドなどの大口投資家が大変多いんですね。で、彼ら大口投資家は、大規模にキャリートレードを行うことが多く、相場の方向性に影響を与えやすいようです。
(昔は日本円だけが低金利でしたが、今現在では、イギリスも欧州も各先進国の通貨が全体的に低金利ですので、円キャリーは少なくなっていくと思われます。それによって、今後は円キャリーの巻き戻しも減っていくでしょう)
まとめ
まとめますと、
- ウォーレン・バフェット氏は日本経済の数十年の長期的低迷を予測している。ついでに日本円の価値が下がることで巨額の利益を得ることができる投資をしている
- 1ドル150円ですらバフェット氏は大儲けできる
- 有事の際には安全通貨である円が買われる・・・というのは、日本が信頼されていると大衆を洗脳するためのウソ
ということなどを記載してきました。
話は変わりますが、特にマレーシアのボルネオ島の人は、シンガポールで働きたがるんですよね。
それはなぜか?当然給与が良いからです。
なので、「あぁ、給与が良いからですよね」と聞くと、彼は、「通貨が高いから」と言ったんですね。
もちろん最終的な意味は同じなのですが、そういう考えをしたことがなかったから驚いた。
例えば、
日本人は大学を卒業して働き出すと、まあ月収20万円くらいはもらえますよね。今はもっと低いかな。
みんな日本にしか住んでいないので、日本円の価値を意識することはないが、基軸通貨の米ドルに換算すると、本来の価値が見えてきますよね。
マレーシア通貨のリンギット 1RMの価値は 0.24米ドルです
シンガポール通貨のシンガポールドル 1$$ の価値は、0.73米ドルです
これが通貨が高いからの意味です。
どこの国も通貨の価値が上がって、自分たちが金持ちになったと喜ぶのに、輸出産業を儲けさせるために円安に誘導しないといけないとかっていうのが、ちょっとおかしいんでしょうね。
僕は海外に住んでいるので、頭の中で米ドル換算などをよく行ないますが、日本に住んでいる人は、手元にある日本円の量しか考えないかもしれません。
余談ですが、月収20万円の人の賃金が、日本円の価値が変化することによって基軸通貨米ドルに換算するとどのようになるかをイメージしやすいように記載しています
2019年9月の実質米ドル価値 1859.5米ドル = 月収200000万円 / 107.555(ドル円)
米ドル換算時の給与 | 備考 | |
1ドル75円の場合 | 月給 2666米ドル | 東日本大震災後の円高最高値(今思えば、むちゃくちゃ日本国民の所得が高かったねこの時は) |
1ドル100円の場合 | 月給 2000米ドル | |
1ドル150円の場合 | 月給 1333米ドル | |
1ドル200円の場合 | 月給 1000米ドル | この段階で、マレーシアやタイに一人当たりの個人所得が抜かれる |
1ドル250円の場合 | 月給 800米ドル | 外国人労働者がわざわざ日本に働きに来る理由は無くなると思われる |
1ドル300円の場合 | 月給 666米ドル | |
1ドル350円の場合 | 月給 571米ドル | |
1ドル400円の場合 | 月給 500米ドル | |
1ドル450円の場合 | 月給 444米ドル | |
1ドル500円の場合 | 月給 400米ドル | |
1ドル550円の場合 | 月給 363米ドル | ベトナム・フィリピン・ミャンマー・インドネシアにも一人当たりの個人所得が抜かれる |
1ドル600円の場合 | 月給 333米ドル | |
1ドル650円の場合 | 月給 307米ドル | |
1ドル700円の場合 | 月給 285米ドル | |
1ドル750円の場合 | 月給 266米ドル | |
1ドル800円の場合 | 月給 250米ドル | |
1ドル850円の場合 | 月給 235米ドル | |
1ドル900円の場合 | 月給 222米ドル | |
1ドル950円の場合 | 月給 210米ドル | |
1ドル1000円の場合 | 月給 200米ドル |
1ドル150円になった段階で米ドルに換算すると、所得は大幅ダウンですね。1ドル200円になると、同じ額面の20万円の給与をもらっていても、事実上の所得が半分になる。その際は、月額給与を40万円にすれば所得としては解決なのだが、そうすると貨幣の価値が下がるので、ハイパーインフレが始まることになるので、すでに持っている預貯金の価値がなくなる。
輸出産業にとっては自国通貨が安いほうが儲けが増えますが、一個人からすれば自国通貨が上がった方が所得が増えるのですが、そういうことを意識している日本人がどれだけいるでしょうか?
※バブル期のドル円相場は、1ドル240円程度だったものがプラザ合意により一年以内に1ドル140円程度になったようなので、国民の所得は一年間の間に2倍に脹れ上がったと思われる。円高で輸出が難しくなり不況が訪れるのならば、新しいビジネスモデルを作りあげる必要があったのだが、30年経っても同じような企業しか残っていないことが失敗だった。
いやあ、ってかこういうお金に関わる事は、もっと早く知りたかった。
早く知っていれば、もっと金持ちになってたはず。
円キャリーやらせてほしいですな。
ではでは。