中華系マレーシア人との結婚を考え直した理由

 
 
 
 
 

青空に線を引く
ひこうき雲の白さは
ずっとどこまでも ずっと続いてく
明日を知ってたみたい

胸で浅く息をしてた
熱い頬 さました風も おぼえてる


 
 
 
 
 
 

2年少し前に、何度も何度も、何度も何度も聞いていた歌を思い出した。僕が一言言葉を発したあの時に、一瞬で雰囲気が変わったあの瞬間のことは、今でもよく覚えている。何かがガラガラと崩れていくような、見えているものが見えていないような、聞こえている音もうまく聞こえていないような。何かが終わったのは分かっていた。あまり空気が吸えなかった。浅く息をしてた。あの時以降の、数十分間程度の記憶は今でもない。

 
 
 

さて、たった2日間くらいで公開中止にしたブログは、以前からたまに、『あの記事を読みました』と言われることがあった。公開していた期間は短かったのに、あの記事を読んだ人がそんなにいたのかと驚かされることが多かった。あれからずいぶん経った。久しぶりに読み直したが、文章にまとまりがないと感じた。実は一年前にとある事が起こって、一つの答えを自分の中で見つけた気がした。今ならもっと客観的に書ける、そう感じた。そして、この内容の記事を必要としている人は、実は大変多いことも知っている。マレーシアに限った話ではない。世界中のどこでも通用する話だと思う。2年以上前の当時の文章で使えるものはそのまま残しつつ、現在のことも引用として補足したいと思う。

 

 

結婚を考えていて、指輪も買っていました。コロナウィルスによるマレーシアの都市封鎖がなければ、すでに大使館などに婚姻書類を提出していたでしょう。ですが、結婚を中止にしました………………なんていう経験をした人はそう多くはないでしょう。

 

僕は日本人ですが、昔マレーシア国内で、中華系マレーシア人の女性と1年近く付き合っていました。お互い結婚する予定でした。マレーシア国内で在住日本人がローカルマレーシア人と結婚する場合は、まず日本大使館に行く事になります。その後、マレーシア国の結婚機関に申請することになります。結婚の申請をするために、すでに日本から戸籍謄本も取り寄せていました。そんな中、2020年にコロナウィルスによるロックダウンが始まったことで、外出もできず、大使館も一時閉鎖になりました。もしロックダウンがなければ、おそらく私たちは日本大使館に書類を申請していたでしょう。結局、ロックダウン中に、いろいろ考え直したことで別れました。仲も良かったのですが、そのような中でどうして結婚を辞めたかは、彼女が私に出会う前に不動産を購入していたことに起因します。そして、もっと重要だったことは、そのこと(不動産)について、お互いにじっくりと話し合うことができなかったことです。今思い返せば、根本的な原因は不動産ではなく、出てきた問題に対して、お互い冷静に話し合うことができなかったことが、僕が彼女に対しての信頼をできなくなったことでした。主な不動産の問題をリストにすると下記になります

 
  1. 彼女が数年前に不動産を購入したが、実際に住宅ローンを支払い続ける資力がなかった(ローカル友人や同僚に確認したが、明らかに彼女の給与で支払える範囲を超えていた)
  2. 私は彼女の住宅ローンを支払うことはできた。でも名義は彼女100%。なにそれ?危なくない?もしも離婚したら、私どうなるの?なぜ私の名義でない住宅のローンを払うんだよ?
  3. その彼女の購入していた不動産自体が、私がお金を支払う先として全く興味を持てなかった(私は日本にて、不動産物件を自分で購入・賃貸・売却の経験があるため、少しは不動産に対する知識があった。彼女は私に出会う前に不動産を購入していたため、私はその物件に関しては何も知らない。家を購入していたという話だけは以前から聞いていたが、詳細は聞いていなかった)
  4. 不便な場所にある。他の友人の意見でも、とても毎日居住して会社に通勤できる場所ではなかった

 

ということで、当時はどうするべきかをいろいろ考えていました。その際に本当に多くの友人や同僚からいろいろな意見を聞きました。それらはほとんど傾聴に値する意見でした。基本的には自分の思考を整理したいという意図が主だったのですが、こういう情報が必要なケースに直面している人もいたりするでしょう。そのため、とりあえずブログに残しておくことにしました。なお、おそらくこのケースは、そんなに珍しいものではないと思います。マレーシアでは非常によくあるケースだと思いますし、似たようなケースはアジア中にあるでしょう。いや、国際結婚の場合は、どこの国だろうと、この問題は避けて通れないのではないかと思います。

 

なお、この記事を残す理由は、下記の2つである。

  1. 起こったことを正確に整理する
  2. 後世の他の方々のために残しておく
 
 
 
 

■問題の不動産情報

 

彼女が家を購入した場所は、Selangor 州の Rimbayu という場所。

家はKuala Lumpur市内からはかなり遠い。Putra Jayaや、KLIA国際空港の方が近い。道路が全く混んでいなくてもKuala Lumpur市内まで40分以上かかる。当然、電車も何もない。バスもない。私の会社はPetaling Jayaにある。実は私の当時の彼女の会社の所在地は、私の会社のすぐ近くだった。お互い、この遠い場所から、どうやって会社に通勤すればよいのだろうか。夕方5時ごろのオフィスアワーの渋滞時には、片道最短で1時間30分はかかると聞いていた。私は会社に近いところに住んでいたので、車も持っていない。この家に住むために、車も購入する必要があるのだろうか。もしくは、この家に週末だけ2人で生活して、平日は会社の近くのPetaling Jayaのコンドミニアムの部屋に住むことにするだろうか。ということは、同時に2つ分の不動産家賃を払うという事になる。彼女の同僚も、『あなたそんな遠いところに家を買って、どうやって会社に来るの?』と聞いてきたらしい。間取りは、2階建て戸建て住宅。郊外だけあって、コンドミニアムよりは広い。

 
 

■このケースは珍しいのか?

 
 

先にも述べたが、このケースは特に珍しいケースではない。マレーシア国内で外国人がローカルマレーシア人と結婚する場合はこの名義の問題は必ずついてまわる。お互いが日本で暮らすのならば、日本人の方が権利は強いのだから、逆に全く問題はない。ただし、権利的な面を深く考えない人もいるだろうし、仮に実は非常に危険な橋を渡っているような状態であっても、夫婦互いに経済的に問題が無く、お互い悪い考えを持つこともなく、人生の最後まで何の問題も表面化せずに、『幸せな人生だったね』で終わることも非常に多いと思われる。また、両親の家にそのまま夫婦が暮らしている場合は、住宅ローンなどの問題自体が無いかもしれない。ただし、今後その夫婦が住宅を購入しようという計画がある場合は、必ず名義の相談は避けて通れない問題になると思われる。同僚の中国人女性は、マレーシアローカルと結婚していて、近い将来、マレーシア国内で不動産を購入したい意志があった。『その際は名義などはどうするのか?あなたは中国国籍なので、マレーシア国内で購入する家の名義にあなたの名前は入らないよ?』と聞くと、『話し合うしかないわ』とのこと。ちなみに、ローカルと結婚していて不動産を購入する場合は、名義はローカルの方の名前を使うことがほとんどだと思う。それは、外国人がマレーシア国内で家を購入した場合と、ローカルのマレーシア人がマレーシア国内で家を購入した場合とでは、支払う税金が大きく違うからである。これは国の政策としては当然のことである。このことから、外国人の名前で不動産を購入するメリットはないと思われる。とはいえ、結婚していて、お互い不動産屋に行って、一緒に物件を確認して、話し合って、この物件にしましょうと決断したのなら問題ないだろう。その場合は信頼が全てである。私の場合は、彼女が私に出会う前に購入しているので、私には物件を選ぶ権利も、意見を言うチャンスも何もなかったことになる。

 
 
 

■懸念点

 
 
 

1、『この不動産は受け入れられない』と伝えると、態度が急変

 

彼女にとっては、家が全て。その家を受け入れられないと言われることは、彼女としても全否定されたような気になるのでしょう。今までは喧嘩をしても、結局は優しかったのですが、これを伝えた後はどうも優しさが無かった気がします。(とはいえ、彼女の大切にしているものを大切にするのは当然でしょう。そりゃあ私も、その「家」を大切にしたかった。だから家が引き渡された後の物件チェックや、掃除も私が積極的に行った。でも、不動産物件を引き受けるかどうかは別の話でしょう)

 
 
 

2、この話を私の両親に相談したと伝えると、嫌な顔をする

 

私がこの不動産の件を両親に相談したと伝えると、『2人の問題なのに外にだすな!』と嫌悪感をあらわにしてきた。これは不可解だった。なぜなら、中華系家族は基本的に絆が深い。日本の一般的な家庭間の関係とは比較にならない。家族は常に連絡を密にし、金のやり取りも頻繁だ。そして家族を大切にする気持ちも日本より強い。それが、この家のローンの場合は、「両親に相談するな!」というのは若干腑に落ちない。実際、彼女は何か問題が起これば、いつも一番にお母さんに電話連絡をしている。また、結婚を予定している相手がすでに家を購入していて借金があることを両親に伝えることが悪いと思う人はいないだろう。

 
 
 

3、『私はあなたに住宅ローンを払えとは言っていない。私が払う』と主張する

 

確かに彼女が住宅ローンを払うことはできるだろう。だが住宅ローンを支払った後の残りの生活費が毎月RM2700程度しかなければ、どうやって生活するというのか?足りないものは私が支払うのだろうか?それは実質的に住宅ローンを負担するのは私ということになる。実際に私が払っていることと同じになる。この問題に対し、多くの友人や同僚に話を聞いた。全員が、「彼女では支払えないので、あなたも支払うことになる」という結論に達した。しかし、友人の誰もがそういう状況だと分かっているのに、なぜ「私が払う」と強弁するのだろう。夫婦内で完全別収支にすればよいのだが、まあうまくいかないだろう。毎月RM3300くらいの支払いがあるとのことだった。それ払っていけるの?と聞くと、「ちゃんと払える」と言うのだが、住宅ローンがあるため毎日仕事量が多すぎて泣いているような仕事をやめられないという状況が続いているのは、そのうちどこかに無理が生じてくると思う。住宅ローンがあるがゆえに、自由がなくなっているのが分かる。彼女が仮に家を買っていなければ、さっさと嫌な仕事を辞めることもできるし、適当に安い部屋に引っ越すなどの自由な選択権を持っているだろう。また、彼女は不動産購入の初期費用のために、年金を引き落としている。数年前に契約締結し、手付金を払い、去年の終わり頃(2019年末)に引き渡しされた。最初に印紙代などのまとまったお金が必要になるとのことだったようで、その時にはお金がないとのことで、急遽年金を引き出していた。現地ローカルマレーシア人は年金の積立を行うことが義務になっているが、マレーシアでの年金は下記の2つの基金に分けられるようになっている。

 
  • 60歳まで引き落とせない年金
  • 教育や住宅などの決められた用途のために必要な場合は引き落とすことができる年金
 

急遽お金が必要とのことで、後者の引き出せる年金を引き落とすために政府機関に行っていた。だが、たかだかこんなことで将来の年金を引き出すようなことで大丈夫?というのはある。ちなみにこの件は、会社のマレー系同僚に話をしたときに、彼も住宅ローンの支払いのために年金を引き落としたとのことだった。マレーシアの人々は、将来の生活に必要な年金を事情があれば簡単におろすらしい。

 
 
 

4、『私はあなたにこれまで尽くしてきた。なのにあなたは私を愛していないの?計算高いのは止めて』と感情論で非難される

 

若干誇張されていると思われる。一緒に住んでいても、掃除機もかけるし、モップ掃除もする。料理もする。家事をしている私を見ながら、いつも彼女はニコニコしていた。洗濯物も干す。偉そうにはしないが、家事を負担し合うことは楽しさもある。飯を食べに行く時も、だいたい私が金を出している。自分だけが尽くしてきたと言われても困るし、そもそもそういったことと、数千万円の住宅ローンは何の天秤にもかからない。 だが、正直、これを指摘されることが最も辛かった。私は、悪い人間なのだろうかと感じた。

 
 
 

5、「私が困ったらあなたは見捨てる人なの?私がもし以前結婚していて子供がいたら、捨てるの?私が病気になったら捨てるの?」と聞かれる

 

これに対して思ったことは、彼女自身も、自分が経済的に危機的状況にあるということを理解しているのだなと思った。ちなみに、別に彼女に子供がいたとしても気にしない。5人も6人も連れてこられたらさすがに考えるが、妻も子供もその状況を理解しているならば、私も子供を自分の大切の家族として迎えるだろう。例え病気になっても、それは仕方のないこと。2人でがんばるだろう。ただし、この不動産は納得がいかない。そもそも、私は決定に一切関わっていない。契約内容も何も知らない。他の誰かが、勝手に契約してきた商品を、私が払うことはできない。盲目的な投資に関わるわけにもいかない。これは、彼女が私の知らないところで勝手に巨額な連帯保証人になってきたことと同じようなものだ。

 
 
 

6、明らかに物件価格が高く、支払っていくだけの資力がもともと無い

 

彼女の毎月の給与は基本給RM6000 + 歩合給。歩合が良ければその月は良さそうだが、いつまで続くかもわからない。そもそも、毎月RM3300の支払いというのは、ローカルマレーシア人には高すぎる。給与格差が激しいので一概には言えない面もあるが、RM710000の家など買う人はあまりいない。基本的にRM1000000の家を買う場合は最低年収100k以上という法則がある様子。この状況を会社の同僚や友達に確認したところ、『よくそんな価格の物件を購入したね。私にはできない。あなたも払うことになるわ。』とあっさり言われる。マレー系の同僚にも何人にも確認をしたが、彼らはだいたいRM500000程度のそこそこ都心に近い中古住宅を買っていた。そもそもコロナで少し景気が悪くなった程度で気にするような返済なら、長期間にわたって返済するとか無理だと思われる。ちなみに、なぜ銀行のローン審査がおりたかというと、彼女は、家を購入時にいくつかの銀行にローンを打診していたが、いくつか断られていた。たまたま、一時的に給与の高い仕事に会社で働いていたときに、ローンを申請したら、CIMB銀行から審査がおりたということだった様子。まぁもともと資力が怪しい人にも金を貸すのがマレーシアの銀行なのは知っている。私はマレーシア最大の銀行の株を保有しているが、心配なのはこの点である。マレーシアのいくつかの銀行は、リーマン・ショックを引き起こしたサププライムローンに近いことも行っている。具体的には返済する力のない人にも住宅ローンを貸していることも多い。全額フルローンに近いものもあると聞いたこともある。正直、ローン地獄にハマっているマレーシア人は普通に多い。そういえば、今年になってからコロナウィルスの都市封鎖のため、不必要な外出が禁止されていた。そのために、週一回くらいでまとめて買い物に行く。基本的に私のお金で食料品は購入していたが、金が無いので……というセリフが増えていた気がするな。コロナウィルスでコミッションは望めないので、やはり苦しくなっているのだろうと想像する。

 
 
 

7、日本で不動産投資をして不動産を貸している私の知識からすると、この不動産自体が価値がなく、所有する意味がないと感じている

 

2人で一緒に不動産屋に行って、2人で決定したのならまだしも、自分が彼女に出会う前に彼女が購入しているだけの物件に、個人的な想いがあるわけがない。私は一切決定に関与できていない。ローン締結時の銀行との細かい条件を私は聞いていないこともある。固定なのか変動金利なのかも聞いていない。ちなみに、マレーシアでは日本みたいな固定金利はほとんどないとのこと。日本みたいに金利が上がらないと見込まれている国なら銀行にとっても都合が良いが、マレーシアのようにまだ金利が上がりそうな国であれば、固定金利にして金利が上昇すれば銀行が大損という事になる。個人的意見だが、いかにローンがあっても、借り主の賃貸料で住宅ローンが返済されているものは資産であるが、自分の給与から支払わなければならないものは負債であると思っている。負債を所有することはできない。

 
 
 

8、自分で居住する以外の、貸す・売るの選択肢が乏しい : 場所が悪いという理由に尽きる

 
 
 

9、2人の将来の展望に若干差異がある

 
 
 

10、不動産を購入した理由が曖昧である

 

コロナ状況下ではあるのだが、家はネットの繋がりも不安定なので、会社に行って仕事をすると伝えると、「一人にするの?一緒に住めないの?」と言って泣かれる。とは言っても、平日の仕事が終わればまたこの家に戻ってくるわけである。たったそれだけの期間だから我慢してほしいと伝える。インターネットが不安定で仕事ができないならば仕方がないということは彼女も理解している。ちなみに、ネットが不安定なのは家の立地とは関係がない。光ファイバーを設置していなかっただけだ。その前に、家に一人でいることが嫌ならば、なぜこんな不便な場所に2階建ての家を買うことを1人で決断したのだろう。そもそも、この家は市内から遠すぎて、通勤に相当な時間をかけるくらいなら、結局市内にもう一部屋を借りたほうが良いのではないかとも感じる。なぜ家を買ったのだろうかとも思っていたので、なぜ家を買ったのか?と聞いてみると、

 
  • 家があると何があっても大丈夫
  • 私は億万長者になるぞ!!
 

と言っていた。昔付き合っていた男と一緒に共同で家を購入したが、別れることになった際に、その家に払っていたお金をどうするかでもめたことがあるということも聞いたことがある。これは、中華系独特の、結婚する前に家を買うということである。なるほど、彼女は一度失敗しているわけなんです。後者の、億万長者になるぞ!という件に関しては、確かにマレーシアでは不動産が上がって3倍4倍の大儲けすることはある。私の日本人の同僚も過去にそういう理由から不動産を購入してきた。だが、近年ではもう価格は上がっていない。景気が悪いことと供給過剰により、価格はむしろ下がっている。どちらにせよ、家という大きな買い物をする際に、あんまり考えてなかったと言うのはよく分かる。だが、売るか貸すかしないと、とてもじゃないが結婚は考えられない。また、このような物件を買ってしまった判断も理解しかねる。別に粗悪物件ではない。近隣に少しずつショッピングモールもできてきているし、複数の大手不動産開発会社も近隣の住宅開発に参加している。彼女がこの物件を購入した理由は、複数の大手不動産開発会社がこの地域をまとめて開発しているから安心という理由もあった様子。この家自体も、大手不動産開発会社の建てたものだ。引き渡し後に住宅に瑕疵ないかをチェックする際にも、二人で頑張った。正直なところ、家を見たときに、なんでこんなに遠い場所なの?俺はあんまり気乗りしない家だな、と感じたが、彼女の大切にしているものなので、私も大切にしたいと思った。でも、今後30年以上も払っていかないといけないものに、夫になる予定だった私が納得していないというのは問題だと思う。いつか将来無理が出てくると思う。「私が払うから大丈夫」と言われても、二人で暮らしている以上、夫側が何もしないわけにはいかないだろう。また、「30年も払うのか?」と聞くと、「いや、そんなことはしない。5年程度経って値上がったら売る」と言っていた。「売却益を狙っているの?」と聞くと、「まだ分からない」という。何を狙っているのかがよくわからなかった。その割に、防犯カメラや、車用の高価な全自動ガレージシャッターを買おうとする。家の中にたいして何もないのに、誰がこんなところに盗みに入るのか?2ヶ月位たったある日、部屋に高価なソファやテーブルがないことを嘆く。なぜ私の家には、家具があまりないのか?「それは、あんたに金が無いからよ」と伝える。個人的にも、この「家」に全く興味がなかった。その前に、この「家」は投資じゃなかったのか?投資であるならば、家具とか不要だ。いや、住むことすら必要がない。以前に住んでいた会社に近い場所にそのまま住んだまま、購入したこの「家」は物件価値が値上がるまで放っておけばいい。しかしお財布事情でそれができない。賃貸と住宅ローンの両方を払うことができないので、結局賃貸は引き払っていた。これはもう投資ではない。自分の資産のうち余裕のある部分で行うのが投資だ。一体何を考えて、この「家」を買ったのだろうか。何も考えてないのがよくわかった。

 

基本的に多くの人が何も考えないけれども、不動産という人生で、おそらく最も高価な商品を買う場合は、エイヤッではなく、戦略を立てることが必要だと思われる。

  • 不動産価格が上昇することを狙った投資?
  • 賃貸収入を見込んでいるの?
  • もしかして、単純に家を保有することがイメージが良いからかっただけなのか?

 
 

上記のいくつかの例から、付き合っている当初から、結婚をしたら、住宅ローンの金も出させてやろうという意図はあったのだと思うが、彼女が根が悪い人間ではないのは良く分かっている。こういうふうに長く文章に書くと、とても特別なことのように思えそうだが、何一つ特別ではない。ほぼ全ての国際結婚には、この問題がつきまとう。

 
 
 

■あえて、この不動産の長所を探す

 

本件において、自分なりにこの物件の長所はないのかと思案してみた。仮に素晴らしい発見があるのならば、私が住宅ローンを払う価値もあるかもしれないのでは、とも思った。これは一時的な気持ちの整理の一環であった。この不動産を受け入れるという道を正当化したいという思いが自分自身の中にあったのだと思う。しかし、私は彼女に対して信頼感を失っていたから、もはやそんなことは無意味なのであった。とりあえず、あえて調べてみた。

 
 

◆COVID-19(新型コロナウィルス)によって、今後、都市の中心部ではなく、部屋の広い郊外型住宅の価値が上がる可能性がある

COVID-19が人々のライフスタイルに影響を与え、働き方、買い物、生活の仕方が変わることで必要とされる不動産の形が変わる可能性がある。例えば、リモートワーク文化が浸透したことによって、オフィスを拠点とするビジネスは縮小することが予想されている。また、ネット上取引や配送ビジネスの活用によって消費者の購買パターンに変化が現れ、ショッピングモールを中心とした小売業の不動産面積は縮小していくだろう。その上で、今後10年の不動産業界は、それ以前の数十年とは大きく異なるものになることは間違いないと見通されている。事実ツイッター社も、永久的にリモートワークを認めるとしているし、マレーシアの大手企業も、リモートワークはもはやオプションではないと公式に発言している。求職時の履歴書に、リモートワーク希望欄が加えられる可能性もあるかもしれない。今後は自宅からの勤務が当たり前になり、どうしても訪問しないとならない職種以外は、自宅勤務が常識となる可能性もある。とすると、都心の狭い住宅は価値が減り、郊外住宅の方が価値が高くなる可能性もある。

 
 

◆彼女が購入した家の場所は、現在大手デベロッパーが開発中のため、将来価値が上がる可能性も大きく残している

事実、私の同僚も、発展につれて価値が上がってくれば売ればよいのだから、払ってもいいんじゃない?とのことも言っていた。上記の点から、この不動産価値が上昇して、大成功している可能性もある。実際に、マレー系マレーシア人同僚も、「まぁ今のうちは支払って、そのうち価値が上がってから売ってもいいんじゃないですかねぇ。まぁ10年後くらいかなぁ」という人はいた。まぁ彼らが深く考えた上での意見かどうかは別だが。。。。価値が上がってくれれば、それは良いことだと思う。今現在価値のある場所の、Puchongにしろ、Mont Kialaにしろ、Desa Parkにしろ、数十年前はジャングルだった。だが、個人的にそこまで待つ気もない。またよく考えたら、名義として私は何の権利もないわけだ。仮に売った際に、そのお金はどこに行くのだろう?

 
 

その前に、もはや私には、彼女に対して信頼という文字すら頭にはないのだ。ただ、どちらにしろ、私が思っていることは、信頼の欠如であるため、家の価値が上がるとかという話はもはやどうでもよいものになっていた。

 
 
 

■状況を改善する対策を考える

 

なお、この状況を改善する対策がいくつかある。それは、下記の6点である。

 
  1. 家を売却する
  2. 家を貸し出す
  3. 家の名義に外国人の名前を追加するため、RM1000000以上の高額不動産を買っちゃう
  4. 完全別収支にする
  5. 『僕が全部払うから君は何もしなくてもいいよ』という相手を探す
  6. 司法書士事務所などに出向き、50:50の名義にするように法的に書面に残す
 

先に話すと、上記の④と⑤を除けば、どれも超実践的なものだ。一見難易度が高そうな③と⑥に関しては、実際にマレーシアのローカル行政書士からの意見であり、実際に行うこともできる。

 

1に関しては、銀行との取り決めに左右される、基本的に、引き渡し後、数年以内の売却は銀行との取り決めで許可されていないことが多いようだ。もしも特例として5年以内に売る場合は、利益から税金が30%取られる。こういった仕組みは日本にもあると思うので、理解しやすい。しかし5年目以降に売る場合は、税金は0になる、そのため5年目以降に売りに出す人は多い。しかし、今現在は不況でもあり、価値は上がっていない。印紙税や契約金を考えれば、売ることで損になる。個人的には、もし結婚してから5年も私が払う気があるかというと無理だと思う。多分そのうちブチ切れる。どちらにせよ、名義所有者の彼女が、売ることを決断する必要がある。私のコントロールできる範囲外のことになる

 

2がリスクを回避する可能性が最も高い。しかし現在開発中の場所のため、人が少ない。需要もないので、当面借り主を見つけることは見込めないだろう。コンドミニアムのシェアルームのように、一室ごとに貸し出すことも難しい間取りなのも難点。一度提案してみたが、家の中での自由がなくなると拒否していた。いや、すでにあなた自身が経済的に自由ではないのですが。実際にその新しい住宅エリアは住んでいる人が少ない。少数の家族がいくつか居住しているだけで、空き家が多い。開発済みのエリアはすこしずつ鍵の引き渡しがされるが、今現在同じ区画内の住宅は、今年2020年の1月に鍵の引き渡しが行われたが、ほぼ半年たった今でも、実際に居住している家は10%に満たないだろう。おそらく場所が不便なので、ただ投資用に購入しただけで、ほとんどの人が実際に住む気が無いのだと思われる。鍵の引き渡し日は、みんなが喜んで朝からデベロッパーに鍵を取りに行くと思うが、私たちが着いた時も、さほど多くの人が取りに来ていたわけではなかった。今後、だんだん居住者が増えていくとは思うが、明らかに購入者はこの地に住む予定ではなく、価格が上がったら売り払おうというものでしかない。

 

3に関しては、名義を私の名前にするならば、その家は私のものなので、自分が支払っても問題はない。私が住宅ローン代金を全額負担するから私の名義にするというのは筋も通っている。(断っておくが、私は共同名義でも問題はない。二人で暮らすなら共同でよい。)周りのマレーシア人の見地からしても、5年10年経てば周辺に街ができてくるので、価格は上がると思うので、その後に売るのは良い判断という人は多い。だが、マレーシアの法律により、外国人は最低購入金額の問題がある。(Selangor州はエリアが二つに分かれており、外国人名義にする場合は、最低2500万円以上と、最低5000万円以上の物件である必要がある。)この物件は、Selangor州の外国人購入の最低金額以下なので、外国人名義にすることは不可能だと思われる。というと、100%自分の名義ではない物件のローンを私が負担することになる。多くの場合は、マレーシアの人は夫と妻の両方の名前を共同名義にする。この場合には、もし離婚する場合は分配が問題にもなるが、公平と言えば公平である。中華系文化では、実際に夫が購入して金を払って、名義は妻のものにするという習慣もある。しかし、これはローンを支払う男性側からすると、離婚したときに最悪の状況になる。そのため、基本的には、名義人になる人間がお金を払うのが良いという意見もある。なぜか中華系には、持ち家至上主義的な考え方があり、結婚を考えているカップルがいると、結婚をする前に家を買うケースは多い。よく分からないが、家を買えば安心・結婚できるという考えがあるらしい。実はこのケースはかなり多い。実際にいろいろな人に話を聞いたところ、『僕の弟も彼女と話し合って家を買っていますよ』という人は多かった。中華系の人は、無理をしてでもマンションか家を買おうとする人は多い。中華系は、収入に見合った中で計画するのではなく、欲しいものを手に入れて、それを克服するために働くような感じが多い様子。そのため、当然消えていく人も多い。だが、消えていく人は目立たずに、勝者や成功者が極端に目立つ世の中なので、変なポジティブ思考の人が多い。で、その金をどう返すか?は後付け。どちらにせよ、名義の部分が肝心なのだが、私は外国人なので、共同名義という方法自体もとれないと思われる。二番目の名前でも構わないのだが、おそらくそれすらも不可能であろう。私は仮に一人でも支払い可能なので、名義を私にする方法でも構わないが、政府の許可がない。
また、その前に、私はこの不動産の契約には一切関わっていないし、この物件自体に価値を感じていない。もし私が、当時の彼女と一緒に不動産屋を訪問していても、この物件の購入を了承している可能性はゼロ%である。家という人生で最も高額であり、人生を左右しそうなものに対して、自分に選択権がなかった事だ。二人で選んで、二人で決めたものなら、頑張って払っていこうねという気にもなる。ただし、今回は結婚しようと決めた人が、私が出会う前に購入していた家の話である。彼女は終の住処のような意味合いが強く購入しているが、私は個人的には家に関してそんな意識は持ってない。私の投資戦略や人生設計とも、著しく異なる。そんな物件にどう対処すればよいのだろうか。

 

しかし、この3案目は実際に現実味がある方法でもある。マレーシアで行政書士をしているローカル友人が実践的な方法を教えてくれた。

 
  • すでにRM700000の彼女名義の物件を買っている状態
  • そこで、夫(自分自身)もどこかに、RM1000000以上の自分名義の物件を購入する(外国人でも、RM1000000以上の物件ならば購入することができるし、自分の名義にできる)
  • 購入したRM1000000以上の、より良い物件の方に、2人で一緒に住む
  • 彼女名義のRM700000の物件は、賃貸に出して、他人に貸す(例え、銀行に支払う額よりも月々の家賃が低くても気にしない。)
  • 彼女名義の物件は、自分自身で払わせる(他人に賃貸に出した分、賃貸料が入ってくる。賃貸収入を銀行への返済に利用すれば、その分月々の支払いも楽になる)
  • 購入したRM1000000以上の物件は、当然夫側が払う。
 

上記は、両方とも不動産が手に入って、お互いにより良い場所に住めるという魔法のような方法だ。財産分割などの法的書類に記入する仕事を毎日している友人からのアドバイスは画期的なものだった。

 

4に関しては、共に生活するうえで、とても現実的ではないと思われる。レストランにご飯を食べに行ったとき、あらゆる時でも完全に別収支にするか?ちょっと難しいと思いますね。夫婦によっては別財布にしているケースは多いですが、片方が大きな借金がある場合に、完全に別収支にするのは難しいでしょう。

 

5に関しては、誰も何の問題もないであろう。筋も通っている。自分の欲しい物を自分で支払うのは当たり前だ。しかし本件に関しては、もうすでに不動産を購入しているので現実には無理なのだが。問題なのは、100%自分だけの名義の家になることが確実に分かっているのに、パートナーの相手の収入で支払っていくつもりなのが明白なところだ。

 

6に関しては、会社の中華系同僚からアドバイスを貰った。しかしこれは難易度が高いだろう。自分自身でも、さすがにそこまでやるの?という気分になる。相手方パートナーも決して気分の良いものではないだろう。しかし、マレーシアで行政書士をしている友人からは、これもよくある方法の一つだとのこと。やろうと思えば、できるし、やったほうが良い。

 
 
 

■多くの友人の意見まとめ

 

本件にあたり、10人近い人から意見を伺った。ローカルの中華系マレーシア人・マレー系マレーシア人、在住日本人、会社の同僚等。多くの友人に確認したところ、

 
  • 「基本給がRM6000で、住宅ローンが毎月RM3300でしょ?差し引きで生活費はRM2700。どうやって生活していくの?あなたも住宅ローンを負担しないといけないだろう」
  • 「契約したのだから、どんなことがあろうと彼女が払うべきよ」
 

という意見に集約された。なお、1名のマレー系同僚からは、

  • 「いいじゃん。それくらい払っちゃえよww」
 

みたいな軽いノリのアドバイスを頂いた。

 

また、そのエリアに昔住んでいたという人は、下記のように具体的な意見をくれた。

 
  • 「この辺で、毎月RM3000も出して家を借りたい人なんていないわ」
  • 「その近辺は、Kota Kemuning とBukit Rimauという渋滞が酷いエリアを通るので、通勤時間にPetaling Jayaのオフィスに行くなら、車で片道最低1時間30分ね。5車線の高速も常に渋滞よ」
  • 「あなたの今住んでいるコンドミニアムの部屋と、その購入した家の両方の家賃を払っていくことになるかもしれないわね。そうでないと、通勤が難しいわ」
 

いろんな人の意見を聞いたのは、なんとか自分の中で、『この物件は投資に値する!』という情報を見つけたかったのかもしれない。しかし、あまりそういう情報は見つからなかった。総合的に、物件に関する良さもないし、相手に対する信頼感もなくなったので不可能と判断した。

 

また、当時は私は彼女と付き合って一年程度だった。これについては、ローカルからもよく指摘された。『付き合って一年程度で家の話?早すぎる。まだ何もお互いについてわからないじゃん』とのことだった。突然家の話が始まったのではなく、新居の引き渡しが近づいていたからであったが、どちらにせよ、ローカルの感覚では、一年で早すぎるというものがあるようだった。

 
 
 

■中華系やマレー系の考え方の違い

 

先にも述べたが、マレーシアの国に住んでいる多くのマレー系と中華系では文化が全く違う。なので、私は中華系やマレー系のどちらにも相談してみる必要があった。

 

中華系の文化として

  • 夫が家を買い、夫が住宅ローンを支払う。そして家の名義は妻の名前にする。そしてもし妻が他の家を欲しくなった場合は、妻自身が自分で購入する。不公平そうな感じはするが、これは現在でも広く行われている。
  • しかし、夫にお金が潤沢な場合は良いが、そうでない場合も当然多くある。その場合は、住宅を二人で購入し、家の名義は共同名義とする。
  • 持ち家市場主義の考え方が強い。なぜか結婚する前に家を買う習性がある。理由は、家を買うと安心感がある。自分の家だとトラブルが少ない。誰かと一緒に住むリスクもない。自分の家があるという事が、周囲にも信頼感を与える。そして家を持っていれば結婚ができる。当然財産にもなる……などの考え方がある。そのため、結婚をする前に家を買う人が多い。無理をしてでもマンションか家を買おうとする
  • 収入に見合った中で計画するのではなく、欲しいものを手に入れて、それを克服するために働く感じ
  • そのため、貧乏になって消えていく人も多いが、消えていく人よりも成功した人が目立つので、ポジティブ思考が強い
  • 結婚をする際に、相手の両親へ金一封を差し上げる必要がある。(これは相手の両親次第で不要という場合もある)
  • 男子優先。女子は家族から愛されないこともある
  • 家族愛が強い。日本の感覚からは比較できない。
  • 男は女性のために尽くして当たり前。レストランに行く時でも、女性が食べたいものがあるレストランに行く。その時に自分の食べたいものがなかったら、後で隠れて自分だけで食べる(これは私の友人の個人的考えの可能性もある。。。)
 

マレー系の文化として

  • 多くの場合、共同名義をとる。
  • イスラム教では、離婚した場合は必ず慰謝料(夫婦財産を分配)されるようになっている。イスラム教徒の場合は、イスラム教に準じた裁判所(Syariah Court)で裁判を行い、そうでない他教徒の場合は通常の家庭裁判所で行われる。ただし、どちらにせよ裁判費用は掛かる。
 

文化なので良い悪いは別にして、上記の中華系の、夫が住宅ローンを購入し妻の名前にする場合は、もし離婚をする場合は最悪の結果となる。ちなみに中国国内でも、家の名義がトラブルの元になることが多いようだ。家の名義をどうするかは、人それぞれのようだ。2人の相談で決める。中国では、結婚前に家を買って、男性名義とする。結婚後は共同財産にするのが多い様子。国際結婚の場合は、国の習慣が違うので、そこはしっかり話し合う必要がある。また、今結婚していて、今後の家をどうするかを話し合わないといけないカップルも、こういった問題にぶつかる可能性は大いにある。そのため、話し合いが必須だ。私の友人の中国人女性は、中華系マレーシア人と結婚して、家族が名義になっている古い家に住んでいる。中国人女性の方は、近いうちに家が欲しいと思っているようだが、旦那の方は家は買わなくてよいと考えている様子。このような場合も、話し合いが必要だ。私のケースは、話し合いの余地はなかった。なぜならば私の彼女は、私に出会う前にすでに家を購入していたからだ。こういうケースは非常に少ないようで、聞く人聞く人に驚かれた。何度も記載するが、2人で相談ができることが大切だ。相談をして、しっかり話し合えることが必要だ。もし話し合えないのならば、ふさわしくないと思う。

 

また、パートナー側の考え方の幅もあると思われる。『なんとしても家の代金を全額支払ってもらいたい!』と考える人もいれば、『ほんの少しくらい助けてくれたら助かるかな』と控えめな人もいるだろう。どちらにせよ、多かれ少なかれ、相手側に少しリスクを取ってもらっても、所有権のない相手に対しても少しはお金を支払ってほしいと考えるマレーシア人が多いと思われる。

 

相手方の家族も重要だ。家族全体で現代的・モダン・自由な考え方を持っている家族もいれば、伝統的な価値観が強い家族もある。現代的なご家族の場合は比較的自由だが、伝統的な価値観が強い場合は、次に夫になる人を、自分の親兄弟の家族に対する戦利品のような意識を持っている家庭もあるように感じた。その場合は、新しい夫婦の関係よりも、昔からのご両親家族の方に良い顔をしやすい。特に中華系には多い気がする。これは個人的見解だが、ご両親が都会育ちか田舎暮しかどうかも、現代的か伝統的かの考え方の違いに影響するかもしれない。しかし、当然逆もある。親兄弟と仲が悪く、家族と疎遠で、全く意に介さない人もいる。いろんな考え方の人がいる。日本人同士なら、同じバックグラウンドがあるので理解しやすいが、国際結婚の場合はいろいろ文化にも違いがある。

 
 
 

■私個人の不動産履歴と考え方

 

私は日本に家を持っていて、それを借り主に貸している。それは、親から譲り受けたものとかではなく、自分で投資として購入した家だ。購入時は、競売で購入した。投資金額はすでに回収しているし、まだ住んでもらっている。大きなリスクはない。そのため、不動産を購入するときに確認すべきことなどはある程度は理解していると思う。基本的に、不動産は、部屋を貸してローン代金はテナントに支払ってもらうのが良い。そのようにして、自分の資産を増やしていくのが良いと思っている。これは、マレーシアローカルでも、多くの人が利用している方法である。

そもそも、

  • 家が一生の宝物
  • 私の夢
  • 終の住処

などのような発想は私にはゼロであった。

自分の住む家が立派に見えようがなんだろうがどうでも良い。そんなことよりも、経済的に健康な状態を作り出し、しっかり資産を蓄えつつ、お金に困るような生活を作らないほうが大切だと思っている。毎日銀行に住宅ローンの返済のために働くような奴隷になるのは良くない選択だと思っている。それはなぜかというと人が、住宅ローンが人生をめちゃめちゃにする可能性があるからである。住宅ローンがあるから仕事をやめられないと言うのはおかしい。そもそも、結婚前に女性側がすでに家を購入しているというのは、なかなか珍しいケースだとは思う。よくありそうなケースとしては、旦那がギャンブルや投資にハマって大借金を作ってしまったから離婚というのはよくありそうだが、奥さんが大借金というケースは少ないだろう。別に彼女は悪い人ではないのだが、変な経済商品に手を出すと、人生を台無しにする可能性があると思った。

 
 
 
 

■政策金利の変更による返済額推移

 

マレーシアの政策金利の20年間推移を見てみる。来年の2023年に政策金利が3.25になってピークになると言われている。今現在はインフレ抑制のために政策金利を利上げ中だが、コロナのロックダウン中は、景気刺激のために金利は大幅に引き下げられていた。マレーシアの政策金利は、グラフを見る限り3.25あたりで長期間安定している。コロナ期間中は、多くの人が住宅ローンの返済額は通常の半分近くになっていたのではないだろうか。今現在はほとんどコロナ前の元に戻っているだろう。マレーシアの住宅購入者の大半は変動金利を選択するらしい。

 

引用元:Malaysia Interest Rate@TRADING ECONOMICS 2022年12月現在

 
 
 
 

■Public Mutualによる適切な借金と収入比率計算方法

 

マレーシア最大の証券会社に、Public Mutual(Public bankの子会社)という会社がある。マレーシアでは、1日に約41人のマレーシア人(21歳〜40歳)が破産宣告しているため、政府や企業が啓蒙活動をしている。ちなみに、平均破産額は125万円だ。破産の原因は、お金の知識のなさ、経済不況、失業、使い過ぎ、医療費などとされている。Public Mutual のパンフレットは、なかなか興味深い。

 

引用元:Public Mutual DEBT MANAGEMENT

 
 

借金は必ずしも悪いものではない。しかし多すぎる返済額はあまり良くない。住宅ローンに限らず、家庭の全体の負債はこの程度に抑えておけ!という指針だ。「返済額と収入の比率を計算しましょう。36%が理想的です。これを超えるとよくありません。」と記載がある。

当時の彼女の返済額と収入の比率を計算してみよう

 

■当時の彼女の月収 : RM6000
■銀行への毎月の返済額 : RM3300

上記の計算式に当てはめると、

    (3300 / 6000) * 100 = 55%

 

酷い数字だ。CIMBもこの収入の人に、RM700000も金を貸すなよと思う。マレーシアは、サププライムローンショックでも起こしたいのだろうか。ちなみに当時の彼女は、銀行からお金を借りるために、何度もいくつかの銀行にローン申請をしていたようだ。いくつかの銀行は審査を拒否していた。当時の彼女がいくつか仕事を変えていた時に、たまたま数ヶ月ほど高収入の仕事についていた。その時にたまたまCIMBのローン審査が通ったようだ。ちなみに、彼女の弟さんはペトロナス本店で勤務していた。超高収入のエリートだ。私は、銀行が弟さんのステータスを確認したことが、審査が通った理由ではないかと考えた。しかし、彼女はそれは認めなかった。銀行は名義人の金融情報しか確認しないと。本当にそうだろうか。とはいえ、実際にどうだったかは分からないが、中華系は、その家族内では助け合うだろうから問題はないだろう。

 
 
 
 
 

■この件で一番つらかったこと

 

この件で一番つらかったこととして、

  • 私はあなたのために何でもやってきた。あなたは何もしてくれない
  • あなた私を捨てるの?

の2点を言われることだった。

前者に関しては、あまり特別なことはなかったと思う。普通に恋人同士の生活だったと思う。いつも一緒で、お互いにtake care してきていたと思う。自分だけが心地よい生活などは望んでいない。

捨てるの?という事が良く分からなかった。私は今でもよく分からない。私は、彼女が私に出会う前に購入していた不動産に対しても責任を持たなくてはならないのだろうか?

ここ数日一切連絡を取っていないが、やりとりしたテキストを見返してみても、俺自身、内容がよく分からない。

 

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『本当の愛とは何か?何が起こっても一緒に世話をする責任を負うことを約束することです。お金の計算はしないでください。このままではあなたは真実の愛に出会うことはできません。私はあなたを愛しています……』

私『いや、私は真実の愛とか高尚なものいらんねん。普通に大切な人と楽しく人生が過ごせればよいねん』

『私の父も私の弟も、母や妻に、家や車をプレゼントしました。彼らは何の代償も求めませんでした。お金の計算はしないでください。』

……もう何を言ってるのか分からねえ。

『私があなたにどれだけ尽くしてきたかわかりますか?あなたは常にお金の計算をします。私のことを大切にしていますか?』

私『ふあ?何か特別なことあったかな?普通の恋人同士の生活しか送ってないと思うのだが……。ってか愛と住宅ローンは別問題だろ?ってかしかも共同名義ですらもないし……』

『男性は家を買って女性にプレゼントします。』

 

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私は彼女の購入した家に最後まで付き合わないといけないのだろうか。彼女を大切にしたいが、この家の購入決断は支持できないと言うのは、私の我儘なのだろうか。このことがすごく嫌だった。だから二人だけで話をするという選択はやめた。何か話をするときは、必ず第三者を設定するようにした。

ちなみに、同じ会社の中国人女性に聞いてみたところ、この、

 

『あなた私を愛していないの?』

『私はあなたに尽くしてきた。あなたは何もしないの?』

 

は中華系女性がよく利用するあるあるフレーズであるらしい。

 
 
 

■最後に

 

彼女と出会ったのは、会社近くのレストランだった。会社のビルが隣同士であり、その近辺の人は基本的にみんな同じレストランに集まる。彼女に出会ってから、毎日が楽しかった。一緒にいろんなところに行った。「もう俺は自分の人生は十分に楽しんだ。やりたいことはだいたいやってきた。あとは、この人を幸せにしていくために生きていくだけでいいわ」そう思ってた。書けることは多くあるが、特に詳細は書かない。とりあえず、私はこの道を選ばなかった。この記事には不動産のことを多く記載したが、別れた理由は不動産ではなかった。話し合うことができなかったことへの疑いだった。

 

『己の欲せざる所は人に施すなかれ』という言葉がある。自分が人からされたら、いやだなと思うことは、人にはしてはいけませんという意味だ。もし私が彼女の立場だったら、決してこんなオファーはしない。対等にともに生きるのならば、自分から50:50の形になるように何とかすると思う。パートナーとして対等に生きるのならば、なぜこんな事になるのだろうかと深く考えた。自分がされたくないことを、相手は私に求めてきていた

 
 

あれから1年半以上が経ち、自分の選択は正しかったかもしれないと思うことがあった。

 

当時の彼女のWhatsappは消していなかった。

 

特に連絡をする用はないのだが、あの時のWhatsappのメッセージを見て、何が良くなかったのかなどを見返す時が来るかもしれないと思っていたからだ。しかし、その時は来なかった。たまたまWhatsappを見ていたら、当時の彼女のアイコン写真が突然変わっていた。いつもの顔写真から、ウェディングドレスを着たアイコン写真に変わっていた。横には中華系っぽい男性がいた。少し驚いたが、ホッとしていた自分がいた。早すぎる。私と別れてから、すぐに別の相手を見つけたのだろうか?いや、そんな時期はどうでもいい。どちらにせよ、早すぎる。彼女は結婚をしたがっていた。それは知っている。自分もそれに答えようとしていた。でも、あまりにも早すぎる。やっぱり、この道を選ばなくてよかったと思った。僕はモノじゃないからね。

 
 

彼女が私と出会った前に作った借金に対して、私はどうすることもできない。これは性格が冷たいとかとは違うと思う。私達は何でも話せる間柄だった。人生の先も一緒に相談できた。だが、本当に深く相談ができていたのかは、分からないと思うこともある。もっと話をすれば、解決点も見いだすことができたかもしれない。いや、話をしようとがんばった。が、できなかったのだ。はぐらかされ、感情論で話を返された。

彼女が不動産を購入したときに、何も深く考えていなかったことは明白だが、たった1つの判断が大きく人生を狂わせてしまうことはあるだろう。彼女は、「私の両親が正しかった。私が馬鹿でした。」と言い出したので、彼女のご両親もこの家を買うことは反対していたことが分かる。実際にご両親が、彼女に対して『さっさと売れ売れ』と言っていたのは知っている。

 

私としても、今現在会社から歩いて10分のところに住んでいるのに、

 
  • 会社まで、車で片道最低1時間30分の場所に移動(通勤時間)
  • 住宅ローン支払い義務が生じるが、名義は私にはない
 

どんな罰ゲームなん?前世で俺はなにか悪いことをしたかな?と思う。

 

ただ、個人的に思うこととして、もし私が何も気づかずに、二人で住む家なので、気にせず払おう。特に何も考えない……などとしていても、結局最期まで幸せに暮らせそうな気もするということはある。多分、意志の弱い男の人なら、あまり難しいことは考えずにまぁいいかなで終わらせてしまう人もいるだろう。しかし、そんな自分の人生の選択権を他人にゆだねるような人生は私は選ばない。とりあえず、本件で、親にまで苦しい思いをさせたことはさすがに辛かった。自分の考えがまとまってきたため、明日からはぐっすり眠れそうな気がする。

 

本件のような問題は、よくある問題だと思う。外国人同士だけではなく、ローカル同士の結婚にもあると思う。下記を見れば分かる通り、マレーシアも年間5万件程度もの離婚件数である。

 

引用元:Marriage and Divorce Statistics, Malaysia, 2022

 

いくつかローカルの知り合いに離婚した人を知っているが、いつも財産分与でもめている。最初から不動産の名義を、50:50にしてあれば、離婚する際にもうまく分けることができる可能性は高い。物件を売却して売却益を分けるのか?もしくは、50%分を片方に支払って、残った方がそのままその家に住み続けるのか?選択肢は自由だ。中華系の話で以前に聞いた話では、旦那さんの浮気が原因で別れた場合などは、明らかに旦那さんに非があるので、家族会議で、旦那さんの取り分は無しということで、旦那さんもそれを承認して、そのまま全部差し出しになることもあるようだ。また、別に聞いたインド系の方々の話では、家や土地自体は旦那さんが全部支払ったが、その代わりに、家具などは奥さん側が全部支払ったようなケースだ。これも旦那さんの浮気のケースだったが、奥さん側としては気分が悪いのでさっさと家を出てしまいたいが、家具を全部持っていくのも大変だ。しかし、家具は全部自分が支払っているので自分のものだという認識がある。仕方ないので、良い引越し先が見つかるまで、同じ家に居座っていたようだ。離婚の理由は様々あれど、Cheated に関しては、一発レッドカードだと思われる。すべての財産を奪われても何の文句も言えない状態だ。表面は紳士でも、家の中では変わる人もいる。結婚した後に変わる人もいる。奥さんがキャリアウーマンで、外に出て働きたいが、旦那さんが『女は外に出るな!』ということで活動をさせてもらえず、それが不満で離婚する人もいる。人にはそれぞれ様々な理由がある。

 

長々と記載してきたが、実はあまりこの話を他人にしたくない。特に、『あなたはなぜ昔の彼女と別れたの?』とか女性に聞かれた場合だ。この場合にこのブログの内容のような返答をすると、理解してくれる人と、理解してくれない人に分かれる。理解をしてくれる人の場合は、『あ、そうだね。それはあんまり良くない状況だね』で終わるのだが、理解してくれない人の場合は、『家くらい買ってあげられないの?あなたみたいな人は向いてないから結婚できないわ』と否定される。僕は間違っているのだろうか…と思案に暮れることもある。

 

僕は、世の中には幸運な人もいることを知っている。他の人が苦労をしている中で、それら幸運な人はそういった壁にぶつかることなく、また、そういった壁があることすら知らない人もいる。本ブログの内容とは全く関係ないところでも、ごくまれに、そういう人を見かけることがある。本人は何にも気づいていなくても、知らないうちに驚くようなタイミングで危機から抜け出していたり、生まれながらに全て持ち合わせたような人だ。本ブログの内容で言えば、マレーシア人と結婚して、相手方の実家暮らしをすることになったり、相手方に紳士的なものがあり、『私が払うから、家に関してはあなたは何もしなくて良い』と言われるような場合であろう。多分そういう場合は少ない。そういう場合も、それ以外にいろんな問題を含んでいる場合はあるだろうが、少なくとも不動産問題はないように見える。そういうケースの人は、『あ、私はたまたま気づかなかったが、こういう場合もあるのね』くらいに読んでいただければ良いような気がする。また、余談だが、日本人の知り合いの女性がマレーシアのインド系の方と結婚する際に、日本人の親が1000万円分くらいをマレーシアの家のために支払ってくれたという話も聞いた。そこは兄弟姉妹全員が海外留学をしているような、比較的裕福な家だった。お金を出すことには変わりはないのだが、親御さん側が裕福な場合はこういう問題も軽減されるのかもしれない。

 

長い記事でしたが、読んでいただきまして、ありがとうございました。いろいろ記載しましたが、こういう状況に直面した時に、ほとんどの人が別れを選択しないのもよく知っている。目の前にいる人と一緒にいたいと決断する人が大半だ。しかし、現状理解をした上で決断をすることと、何が起こっているのか分からないまま、『よく分からないけどいいよ』と先に進めるのは全く違う。覚悟には愛と決意があるが、無知には何もない。権利関係などを何も意識せずに進める不用心な人が、若い人だろうと年配者だろうと、日本人だろうと外国人だろうとちょこちょこ見かけるが、それが賢明だとは思えない。このブログでは、【マレーシア】や【中華系】の話として記載しているが、こういう話は世界中どこでもよくある話だ。そのため、読者がマレーシア在住ではない場合は、国名などを頭の中で置き換えて考えていただいても良いと思う。最後に、このブログを読んで、『あぁ、こういう場合もあるのか』と考えるきっかけになってもらえればよいかと思います(^o^)

 
 
 

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