福島原発事故時に東京で勤務をしていたフランス人駐在員の葛藤を描く映画 Tokyo Shaking を見てきた


Mid ValleyのGSCで、非常に短い期間限定で興味深い映画をやっているのを見つけた。実際には、5日間くらいしか上映しておらず、1日に1度上映するのみ。KLでの上映が終われば、ペナンやジョホールでも少し上映されるようだ。興味深い内容だが、そんなにヒット映画でもないので、実際にこの映画を見る日本人はほぼいないだろう。日本人は当時のことを忘れることはないと思うが、フランス人がどのようにこういったテーマで映画を作るのかが気になったので見に行ってきた。フランス語で英語字幕だ。字幕はあまり好きではない。映像だけでは内容を追えない。字幕も見ないといけないので、集中しづらい。お客さんは5人程度だった。おそらくローカルだったと思われる。津波の映像が流れるので、見れない人もいるだろう。ちょっとツイッターに書くだけにするつもりだったが、文字数が多すぎになりそうなので、ひさびさのブログにしてみた(^o^)

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■あらすじ

投資銀行クレディ・フランスのリスク担当として日本支社に駐在するフランス人アレクサンドラは、夫は香港で働き、自分と2人の子供は東京に住んでいる。高級なサービスアパートメントに住み、現地ローカル日本人よりも遥かに高い生活レベルを送っている。
3月11日、信頼している部下に解雇通知をする辛い場面中に、大震災に遭遇する。何事もなかったと思ったのもつかの間、テレビで津波の映像が流れる。(これは、実際の津波の映像をそのまま使っている)とんでもないことが起こったが、子どもたちは無事に家に帰っており、安堵する。しかし、福島原発から放射能が漏れているとテレビの報道で知る。日本政府はアンダーコントロールされていると発表し、同じサービスアパートメントに住んでいる隣人(世界最大の原子力産業会社のアレヴァで働いている)のフランス人も、問題ないというため、アレクサンドラは安心する。しかし香港に住む夫からは、『とんでもないことが起きた。これはチェルノブイリだ。今すぐ香港に来い』とスカイプが届く。元々香港で友だちとパーティーに行く予定であった子どもたちも、早く香港に行きたいと言い出す。日本政府とアレヴァの技術者の言葉を信じたアレクサンドラは、心配する夫との間のすれ違いにより口論する。休みにも関わらず、フランス人同僚と震災の状況について打ち合わせをする。フランスの会社からは緊急帰国指示が出ていた。どうするのかと思案するアレクサンドラ。しかし、いくつかの同僚は、月曜日朝にはすでに飛行機で日本を脱出しており、最後まで残ると言っていたはずの上司も、こっそりパリに脱出していたことをアレクサンドラは後で知る。
もはや業務どころではなくなっていき、次第に状況が悪化してくる。飛行機の予約はもう満席で取れず、空港もパニックだった。会社が手配するチャーター便があり、社員全員やその家族を国外に脱出をするというプランだったが、会社からは、フランス人だけしかそのチャーター便には乗れないと言われる。信頼している日本人部下たちも連れていきたいと願うアレクサンドラだが、日本人部下は東京に残ると言う。落ち着いていた外国人同僚達も、原発が爆発する映像を見て、避難を決意する。彼らがフランスに入国するビザを取るために、神楽坂のフランス大使館に行くが、大使館自体も緊急閉鎖しており、プランも進まない。アレクサンドラは取り乱してしまう。そんな中、隣人のアレヴァ社員も状況の悪さにイライラがつのるようになってくる。ついに原発4号機は爆発し、5時間以内に東京に放射能雲が来ることになった。アレヴァの社員は最後に『想定外だ。エアコンの電源を落とせ。窓の隙間をテープで塞げ。そして、僕の家族の世話をしてくれていたフィリピン人メイド達とともに京都へ行ってくれ』と言い残し、仙台に向かう。飛行機脱出を考え、会社へパスポートを取りに行くアレクサンドラ、しかしそこには……。

■感想

細かなところが良くできている。実際に東日本大震災は金曜日に起こり、次の日は土日だった。映画でも震災の次の日は土日になっている。一方、1号機、3号機の爆発、そして天皇のビデオメッセージの時系列が若干違っていた気もする。映画内で使用されるテレビの映像は、全て実際に日本のテレビで当時放送されたものだ。昔の菅直人首相も登場する。アレヴァの社員が登場し、かつ彼の発言が主人公の判断に影響を与えている。アレヴァが登場してくるところに、日本人ではなく、フランス人が作った映画らしさを感じる。日本人が作る映画では、アレヴァのアの字も出てこないだろう。興味深い点として、フランス人が駐在として東京で働く場合はこんな感じになるのかというふうに感じた。高級なサービスアパートメント、隣人家族はほぼフランス人。普段のオフで関わるのは同じフランス人。オフィスでは基本フランス語。基本的にはパリ本社の意向ですべて決まる。現地日本人採用者は、明らかに一段階下の労働者側に見える。映画内には、日本への配慮もある。武士道を重んじている日本人達のように、日本人を尊敬するような部分もある。なお、原発事故に関しては、放射能雲は結局東京には来ずに、海側に消えていったことでみんな助かったということになっている。冒頭、巨大地震に襲われる描写があるが、これを見ると、外国人は日本に住みたくないと思うのではないかと思う。投資をする側からしても、未知のリスクは負えないと考えそうだ。この映画は、東日本大震災の被害や日本人の状況にはあまり触れられていない。あくまで、フランス人駐在員が震災発生以降の1週間程度どのように葛藤し、本社の意向と現地社員の間で折り合いをつけていくかに焦点が置かれており、日本人目線の映画にはなっていない。そのため、映画を見ていても、日本人としてはどこか遠くの話を見ているような気にもなる。

2022年6月現在、コロナウィルスが終焉を迎えつつあるようにみえるが、日本では、極端な円安問題・ヘッジファンドによる日本国債売り戦争が始まり、進むも引くも地獄という状況だ。地震は誰にもどうすることはできないが、経済問題や原発問題は明らかな政策失敗であり人災である。明らかに数字として貿易赤字が膨らんでいるのにもかかわらず、根拠もなく『円安は日本経済にプラスである!』と高らかに謳う国会議員を見ていると、『原発のコストは安い』と何の根拠もなく、大きな声を出していれば嘘でも本当になるというあのときと同じである。東日本大震災から10年、個人的には、資産も全て国外に移してあり、時間も金も困っていない。あの時よりも少し成長した。日本がどうなろうと、すでに逃げ切ってはいるが、故郷の動向を確認程度はする。とはいえ、特に期待はしていない。この先の日本がどうなるかは、少し考えれば誰でもわかりますからねぇ。。。。(゚A゚;)ゴクリ



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