バタム島・ビンタン島観光

マレーシアやシンガポールに住んでいる人からすれば、おなじみの島ではないだろうか。バタム島。クアラルンプールからなら、スバン空港から飛んでいるマリンド・エアに乗れば一時間程度で着く。ジョホールバルからなら船で約2時間、シンガポールからなら船で約1時間だ。ハート型の形をしたバタム島とそのすぐ東側にはビンタン島がある。今回は両方の島に訪れてみた。ビンタン島は島の北部に高級リゾートホテルが乱立しているためリゾートのイメージがあるが、バタム島はそんなイメージはない。もしあなたがマレーシアやシンガポールに住んでいて、『ちょっと今週末はバタム島に行ってくるよ』とでも言おうものなら、あまり良くない目で見られるだろう。ジョホールバルでタクシーに乗ってフェリーターミナルに行く際に、ドライバーから『バタム島?あ、ダメダメ。嫁が許可を出さないよ』と言っていた。昔からこの島は売春島で有名である。シンガポール人が通貨の強さを背景に女性を買う場所である。陸地続きではないが、国境沿いの街というのは、両国の影響を強く受けるため、バランスに欠け、こういうことは往々にして起こりやすい。個人的には興味がない領域ではある。しかし、110万人が住む大都市のため、当然そういったものだけではない。EPSONの巨大工場もあるし、大きなショッピングモールもある。ゴルフ場もある。しかしイメージだけではなく、実際に中華系おじいさんと若いインドネシア人女性が歩いている姿はよく見た。市内中心部の繁華街の名前は、ナゴヤだ。日本統治時代の名残かと思ったが、ローカルに聞いても、誰も理由を知らないし、その名前の意味に興味すら持たない。また、バタム島は中華系のインドネシア人が多い場所でもある。インドネシアで中華系が多い都市は、ジャカルタ、スラバヤ、バタム島、メダンだ。大都市か、もしくはマレー半島周辺だ。インドネシア人は英語があまり得意ではないが、中華系は英語が話せる人が多い。中華系はインドネシア国内では、どうしても分断される傾向がある。昔からインドネシアの土地に住んでいる原住民と、そうでない中華系でだ。表立ってはいないが、中華系は中華系だけで固まる傾向はある。そのため、ある種の危機感があるため、子供の教育がしっかりしていると思われる。インドネシア中を回って今更思うことだが、バタム島はマレーシアとシンガポールに近いだけあって、バタム島の人々は地理にも明るい。他国で何が起こっているかのアンテナが高い。他のインドネシアの都市の人は、基本的にインドネシア国内のことしか知らない。バタム島の経済は、シンガポールに大きく依存している。シンガポールマネーが島の経済活性化には重要だ。それも仕方ないだろう。1時間船に乗れば、世界最先端の都市がある。シンガポールとバタム島では、インフラや文化に数十年の差があるように見える。おもしろいことに、バタム島のタクシードライバーは、シングリッシュを話す。シンガポールからの出張者も多い。遠く離れた首都ジャカルタよりも、裕福なシンガポールのほうが重要なのは言うまでもない。

ローカル感あふれる市場。

   
 

バタム基本情報

 

   
 

場所・地図

 

   
 

どんな街?概要

 

バタム島に目立った観光地はない。日本人からすると、ナゴヤの中心地にあるNAGOYA HILL MALL内でエアコンにあたりながら、リラックスするのがおすすめ。ナゴヤという名前に、ある種の面白さを感じるだろう。最もおすすめの場所は、ナゴヤエリアにあるフードコートだ。特に夜のフードコートの活気は桁違いだ。マレーシアやシンガポールでは見ることができないレベルの活気がある。屋台天国のペナンを遥かに上回る。治安は必ずしも良くない。インドネシアは国民所得の上昇に伴い、全体的に治安が激的に向上しているが、バタムは極めて良くない部類。後述するが、ある種のエリアは極端に治安が悪いため、バタムローカルも近寄らない。とはいえ、旅行者はNAGOYA HILL MALL付近に宿を取ることをおすすめする。エンターテイメントや有名なローカルレストランなどがたくさんある。しかし治安は悪い。マレーシアやシンガポールからのフェリーが着くバタムセンター周辺は治安は良いが、何もない。もしすることがなくて暇になったら、隣のビンタン島のTanjung Pinangに移動してみるのも良い。

開発が続くナゴヤ。

バーエリア。イスラム教のインドネシア人も普通にお酒を飲みます。

Nasi Timbelはバタム島の郷土料理だ。ご飯の中にテンペが入れてあるだけだが、一度は試してみるのもよいだろう。テンペは大豆をテンペ菌で発酵させたものだ。いわゆる納豆だ。日本のように糸をひくこともなく、固まっている。食べやすいのだが、味がないので、あまり美味しくはない。そのため、食べたくないという人も多い。しかし健康食品だ。しかも価格も安い。インドネシアでは広く食されているので、インドネシア人はテンペの味付けがとても上手だ。テンペは栄養があるので個人的にも日常的に食べたかったが、味付けが難しかった。醤油、塩、ソースなどいろいろ試した。そういう味付けの面でも、インドネシア人のテンペの味付けを学ぶのは良いと思う。

   
 

バタム観光

 

   
 

Nagoya Foodcourt

   

圧倒的な活気、圧倒的なレストラン数を誇る。明らかに屋台天国のペナンを上回る。こんなに勢いのあるフードコートを見たのは初めてだ。治安の悪いエリアのため、あまり夜に動きたくはないが、このフードコート周辺は特に問題ない。お昼に行っても良いが、夜のほうが活気がある。お酒も飲める。バタムは中華系が多いが、インドネシア人ムスリムも気にせずにお酒を飲むのだろう。ここを見ることなく、バタムは語れない。インドネシアでは面白い点として、人気のあるレストランはお客さんが多いので、人気のあるレストランの壁には企業からの広告が入る。バナー広告みたいなものだ。所狭しと企業広告が貼られているのも、人気の証。

外の席も人であふれる。活気が本当に桁違いだ。ここは絶対に来なければならない。

ちなみに、昼に行っても良いが、活気はやはり夜だ。昼の写真も貼り付けておこう。

   
 

NAGOYA HILL MALL

 

少し古いショッピングモール。しかしバタム島の中心のナゴヤエリアにそびえ立つモールとしては悪くない。インドネシア国内によくある飲食チェーンなども多いため、ここで食事をするのも良い。とはいえ、日本人には、やっぱり『ナゴヤ』の地名は少し心躍りますね。とりあえず、バタム旅行の発着点。

   
 

Grand Batam Mall

 

NAGOYA HILL MALLは少し古めかしいので、こちらのGrand Batam Mallのほうが新しく、きれいで高級感があり、落ち着くことができます。インドネシアで圧倒的人気を誇る、丸亀うどんを食べることもできます。

   
 

Welcome to Batam Monument

 

山の上にあるサインボードを見るだけ。フェリーが到着するバタムセンターから近いので、少し歩けば見ることができる。あまり大きな意味はないが、なんとなく写真に収めたい場所でもある

   
 

Mega Wisata Ocarina Batam

 

潰れたか潰れてないかのぎりぎりのラインの遊園地。公園と海岸があるので、暇なら行ってみるといいかも。とはいえ、行かなくてもOK

   
 

Museum Raja Ali Haji

 

バタム島の歴史に関する博物館。やはりインドネシアの歴史では、どうしても旧日本軍の話が出てきます。ローカルはここの存在すら知らないほどですが、この博物館の資料は、非常に興味深いものが多い。フェリーが到着するバタムセンターから近く、大きな博物館ではないので、少しの時間の間に立ち寄るのも良い。入場料は無料。

Ali Hajiは、18世紀のマレー作家。1808年にセランゴールに生まれ、1873年に亡くなった。彼は多くの語学、歴史書物を残し、ジョホールやパハンで辞書として使われた。2004年にインドネシアの英雄の一人に指定され、2019年に彼の名前を使った博物館をバタム島に作ることとされた。
(今でこそ、シンガポール、マレーシア、インドネシアの3つに国が分かれていますが、もともとはこの一帯全域はマレー出会ったことがわかりますね)

このリアウ州は、旧日本軍が始めた大東亜戦争で、1941年の終わりに最初に攻撃を受けた。真珠湾攻撃より6日後の1941年12月14日の早朝、Terempaが最初に攻撃を受けた。その後、Tanjung Pinang、バタム島も次々に攻撃を受けた。1942年の2月15日にシンガポールが陥落してからは、日本兵はリアウ州を制圧した。リアウ州はBatam To、シンガポールはSyonan to kabitaiとされた。特にナゴヤエリアは、日本軍がNato Hillという拠点を作った。このNatoという名前は、このエリアを制圧したときの軍高官の名前から取ったようだ。
(当時は、マレーシアもシンガポールもリアウ州も全部マレーシアだったのではないかと思われる)

バタム島の南側に、レンパン島という島がある。広島長崎に原爆が落とされ、天皇が敗戦を述べた後、スマトラ島にいた日本兵は、バタム島とレンパン島よりもさらに南の島の、ガラン島というところに一度集まって、その後シンガポール港に向かって、帰国を果たした。しかし、日本軍が連合軍に負けた後、一部の兵はレンパン島に一時勾留されたようだ。112708人くらいの日本人が帰国を待っていたが、実際の帰国までに、128人がコレラやマラリアで亡くなったと。そのため、帰国できずに亡くなった方の供養として、日本人によって作られたNGO団体の、Rempang Friendship Association(RFA) というものがあるらしい。

   
 

A2 Food Court

 

バタム島のフードコートのツートップの一角。とはいえ、どうせ行くならNagoya Foodcourtの方が良い。Nagoya Foodcourtの方が、広く、活気もある。両方とも近い場所にあるので、両方とも行ってみても良いかな。

   
 

Harbour Bay

 

ナゴヤエリアの西側にある海岸。夕日のスポットのため、夕暮れ時には多くの人が集まる。そして、このエリアは夜になると、おしゃれなクラブやレストランが開き、洗練された大人の空間になります。観光地のないバタムの中でも、ここはぜひ来たほうが良い場所でしょう。しかし、歩いてくる場合は、どうしても治安の悪いエリアを通ることになりますので、GojekやGrabなどを利用するほうが良いでしょう。夕方ならまだしも、夜は危険と思われます。

   
 

ビンタン島 Tanjung Pinang

 

ビンタン島も広いですが、市内中心部のTanjung Pinangが良いでしょう。市場や街並み、変わったモニュメントを見てみるのも楽しいと思われます。なお、ビンタン島への行き方については、フェリーに乗ることになるので、下記を見てもらうのが良いと思います。

 公共交通機関 

   
 

バタムへの行き方・アクセス

 

シンガポールから船で1時間。距離的にはたいしたことがない。日本人が入国する際には、VoA、ビザオンアライバルとして、35USDを入国時に払う必要がある。コロナとしては、3回ワクチンを接種していれば、何も問題はありません。今回は、フェリーを利用してみたかったため、わざわざジョホールのBerjaya Waterfrontからフェリーでバタムへ向かうことにしました。

世の中、いろいろ変わった人がいるものだ。さすがインドネシア。ワイルドだぜ。

実際の直線距離ではそんなに距離はないのですが、シンガポールを完全に超えるまでは超低速で走ります。外洋に出てから、スピードを加速します。そのため、2時間程度かかります。

フェリーが着くバタムセンター周辺は客引きが激しいので、一旦外に出て、すぐ近くにあるMega Mall Batam Centreに向かうのは良いと思います。客引きが激しいタクシーと関わって何のメリットもありません。ショッピングセンター内で一度落ち着くか、そこでSIMカードを買ってから、Grabなどを利用するほうが良いでしょう。

   
 

バタムの空港・空港から市内まで行く方法

 

トランスバタムという公共交通機関のバスがありますが、いつ来るかどうかもわからないバスのため、GrabやGojekを利用するほうが良いでしょう。空港と市内がそんなに遠く離れていないため、価格もそんなに高くはありません。

   
 

公共交通機関

 

トランスバタムという公共交通機関がありますが、そんなに広い街ではないので、普通にGojekやGrabなどを利用するほうが良いでしょう。治安もそんなに良くないので、流しのタクシーを使うと何らかのトラブルになる可能性があるかもしれませんのでおすすめしません。

一応公共交通機関のはずなのですが、ドラえもんやキティちゃんのぬいぐるみがたくさん置いてありますね。ドライバーさんの趣味でしょうか。

なお、ビンタン島に行くときには、下記のフェリー乗り場に行く必要があります。

市内からこのフェリー乗り場は少し遠いので、その場合はトランスバタムを利用するほうが良いかもしれません。タクシーだと少し高くなりますが、定額で安心して乗れます。ローカルの雰囲気も味わえます。しかしバス停を探すのが少し難しい。インドネシア語では、Halteというのがバス停を表します。

治安が悪いエリアなのに、バスの絵は可愛い。

お金の支払いは、基本的にバス停の中に、支払いをする機械を持っているおばちゃんがいるので、そのおばちゃんにお金を渡すだけです。簡潔明瞭、珍しい外国人観光客だということで、少し喜んでくれます。

Telaga Punggurバスステーションに着きましたら、歩いてフェリーターミナルに入ります。その後は、チケットを購入してフェリーに乗ります。

ここのチケット屋さんは、女性がずっと体半分を外に出して声を出し続けていました。コミカルな感じですが、ずっと続けてたら腰を傷めそうですな。

片道はRp57500。Tanjung Pinangからバタム島へ帰る時も同額ですが、Tanjung Pinangのフェリー乗り場に入るときに、利用料ということで別途Rp10000ほど取られたような気がします。

バタム市内からバスステーションまで約1時間、フェリー片道1時間。島を少し観光することを考えますと、ビンタン島の観光には、約1日は使うと考えてよいでしょう。実際はバスやフェリーを待つ時間もあります。

   
 

ホテル・宿

 

バタムはバックパッカーが集まる場所ではないし、欧米人観光客が来るような場所でもありません。そのためドミトリーはありませんので、ホテルのみになります。ホテルの価格は安いので、2000円くらい出せばそこそこのホテルがあります。Agodaで評価が高いホテルに泊まれば、まあ問題ないと思います。食事を楽しんだり、ナゴヤの町を見て回りたい場合は、NAGOYA HILL MALL周辺が良いでしょう。バタムセンター周辺は治安は良いが、何もすることはないのではないかと思います。

個人的には、この赤い丸のエリア周辺はあまり立ち寄らないほうが良いと思います。街を歩いていても、通常は問題ないですが、夕暮れ以降にこのエリアを歩くのは避けたほうがいいでしょう。治安が急激に悪化します。

ちらっと中に入ってみた限り、バーが並んでいました。バーエリアとスラムエリアが混ざったような場所です。僕はホテルから歩いて海岸に向かっていました。夕日が見たかったのですが、このエリアに入った途端、ローカルの人々の雰囲気が急に変わりましたね。『おい、どこに行くんだ?タクシーに乗っていけ』といういつものやり取りがあるのですが、『No』と言っても着いてくる。何度断ってもしつこいので、とりあえずコンビニエンスストアに入りましたが、コンビニエンスストアの中にまで着いてくる。この時点で異常なのですが、肩を触ってきたので、『Hey, Don’t touch me』とこちらも怒りの応酬。コンビニ内で喧嘩をしても、こちらが怖いことはないですからね。まあ、コンビニの外に出ると、また待っている奴もいるのですが。Hati Hati!!

   
 

まとめ

 

バタム島には、マレーシア・シンガポールを上回る大変素晴らしいフードコートがあるのでオススメしたいのですが、一部の強烈な治安の悪さから万人に勧めるのは、少し躊躇してしまいます。もし滞在するのならば、2日くらい滞在して、フードコートや現地ローカルの食事を楽しむ程度かなと思います。特に、Nasi Timbelは、バタム島でしか食べることができない郷土料理のため、一度は試してみたいところ。シンガポールやマレーシアから1時間程度移動するだけで、インドネシアの雰囲気を味わうことができます。

しかし現在(2022年)は、ASEAN以外の国の人がインドネシアに入国する際には、VOAビザオンアライバルを35USDで購入する必要があります。(コロナ前はこの措置は2015年に撤廃されていたので、いずれ無くなる可能性もある。)そのため、VOAビザオンアライバルを購入してまで、このバタム島に来る必要があるか?というと少し考えてしまいますね。

以上、バタム島の観光情報などはあまりネットにもないため、ブログを作成してみましたm(_ _)m

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